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words are not enough

向田邦子『思い出トランプ』



短編小説が13編収められている。
どの作品も文章から風景、温度、湿度が感じられ、古い作品だが読みやすい。とても映像的な文章を書く作家だと思う。
作者は生前、ドラマ脚本家をしていたそうだ。いまだその才能を惜しむ声を聞く。
静かなドラマのように作品は綴られている。物語の色彩は、やや褪せて映る。

大した事の無い人が「自分の人生はこんな筈じゃなかった」と心の何処かで思っている。
例えばあなたのように。
うんざり。後ろめたい。後悔。
描かれた彼等と、読む私達の間にはほとんど差が無いだろう。
思い出トランプ思い出トランプ

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