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words are not enough

雨宮まみ『40歳がくる!』大和書房

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好きな人には好きと言い、会いたい人には会えば良い。それを怠けた結果、もうまみさんには会えなくなってしまった。
この本は雨宮まみさんの遺作である。

著者が書いたのはネット連載された原稿に未発表原稿1篇、ZINE( #溺死ジャーナル )に寄稿した原稿の中から選ばれた1篇。
後は著者と交流のあった人達の追悼文で埋められている。

著者の原稿はどれも良いが『東京の女王』『40歳で人生が始まる』の2篇は特に好き。この2篇は著者が生へと引き戻されているように思えるから。他の原稿は、まだ塞がっていない傷の様に痛々しく、明るく書いても常に無理をしている。
無理なんかしなくて良い。好きな人の苦しむ様を見るのが私はつらい。

私は著者の生前からのファンだ。とても仲が良かったのに、名前の連なっていない人達の事も考えながら追悼文の数々を読んだ。
雨宮まみについて語る時、彼等は自分語りをしてしまう。彼等はただ話したいだけなのかも知れない。「私の(俺の)仲間は最高だぜ」と。
九龍ジョーの自分語りは流石に長かったが、カルチャーの最前線を捕まえるのはいつも女性というくだりには頷いた。

遺影とも言える写真にどぎつい原色のカバー。余りにも死を想起させるこの装丁は苦手だ。死はそもそもドラマティックなものだから、わざわざドラマティックに飾り付ける必要が無い。おしるこに生クリームを山盛りにして黒砂糖を1kgぶっかける様なものである。
安全ちゃんが撮ったはにかむ著者の写真が私にはしっくり来る。

私がこの連載を読んでいたのが20代の頃。そして今の私に迫るのは40歳という歳。もう少し生きれば40歳がくる。
好きな人には出来る限り好きと言い、会いたい人には出来る限り会いに行きたい。
体力も金も無い私には難しい事だけど、それでも目標を持つ位はしても良いと思っている。

この他にもAM(アム)マイナビニュース、夜オンナ*1などの媒体で書いていた原稿もまとめて読みたい。PHPスペシャルは以前著者の書いたエッセイをまとめていたし、仕事文脈も『女と仕事』でコラムをまとめていた。ネット媒体の編集部には頑張って欲しいところだ。それどことかSPUR.jpとかね。

女と仕事女と仕事

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*1:現在はサイト閉鎖