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好きな人には好きと言い、会いたい人には会えば良い。それを怠けた結果、もうまみさんには会えなくなってしまった。
この本は雨宮まみさんの遺作である。
パリと東京を股に掛け書かれた、エッセイという名の私小説。
おそろしい本だった。
この本には希死念慮そのものが描かれている。心の弱っている人が読めば、希死念慮に連れて行かれるだろう。
テロが身近な為、むしろ自らと死の間に距離を置けるパリ。パリに比べれば平和な為、ぼんやりとした死が自らに迫り来る東京。
この本を読んでいる間、どちらにも住んでいない私はどちらの風景にも紛れていた。死が目の前に在った。
おそろしい本だった。
子供や友人の何気無い描写、また、好きな音楽のくだりに救いがあって良かったと心から思う。
心身共に余裕のある時だけ読む事をおすすめする。
著者が好きな音楽を好きなだけ聞いて、心身をゆっくり休める事が出来たらと願わずにはいられなかった。
私は初めて金原ひとみ作品を読んだ。彼女は文章が巧い。
星新一のショートショートは様々な要素を持つものだが、このショートショート集はやや意地悪な印象を受けた。
犯罪小説が多かったからかも知れない。
その中で趣の違う作品は人生の黄昏時を描いた『夕ぐれの車』。犯罪者コンビが踏んだり蹴ったりの思いをしながら1日を過ごす物語である。
古いロード・ムービーの様に映像的な作品。読後感はほろ苦い。他の収録作に比べ少しだけ長さがあるもののスイスイ読めてしまう。
他の作品が好みじゃなくても『夕ぐれの車』だけは一読の価値ありに思う。
また、ギャグ作品なら『うらめしや』の途中までのやり取りは純粋に面白く「ずっとこのくだり続かないかなぁ」と思いながら読んだ。
粗忽者をたしなめるのが落語の様で、途中までのやり取りが良いためオチが弱く感じる程だった。
最後に余談も余談だが、解説が伝説の「くぅ〜疲」に似ていると思うのは自分だけだろうか。普段解説は読み飛ばす人も「くぅ〜疲」ファンなら満足出来るだろう。
最近ネットで古書を買いました。
(と言っても一冊のみです。一応断捨離中。一応だから……)
利用したのは長野の古本屋さん『éclipse plus (エクリプス プリュス)』。
レシピ本など食にまつわる本を豊富に取り揃えています。
私も今回初めて利用したのですが、オリーブやリンネルのカルチャーが好きな人は立ち寄ってみると幸せになれると予言しておきます。
私も断捨離が終わって生活に余裕が出たらまた買い物したいな。
(━━━そしてまた恐怖の断捨離ループへ━━━)
文筆家・長谷部千彩の原点となるエッセイ集。美しい女が過ごす、バブル崩壊後の東京の空気が吹き抜ける一冊。
何故この本が #本の力を感じた一冊 かと言うと、彼女がもがきながら好きな事を書いているのが伝わるから。
文体は稚拙。
だからこそ本音が透ける。
いくら繕ってもまっすぐな感情が伝わる。
ここまで素直な気持ちが伝わって良いのかとすら思う。
ただの紙の束を通して誰かのまっすぐな気持ちを受け取れる事は滅多にない。ここに私は本の力を感じる。
また、彼女の嗜好は読者に影響を強く与える。私もこの本を読み、香水とストッキングの手持ちが増えた。同じ経験をした読者も多いだろう。
完璧な文章を読みたい人には薦めない。
若い文章を許容出来る人には一読してほしい。