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words are not enough

『杏のパリ細うで繁盛記』第六回 白目の次郎 /新潮社『波』2024年7月号より


『波』は新潮社の宣伝誌。広告だけではなく様々なコラムや対談が読める。対談に誰を呼ぶかの企画力、センスが雑誌ダ・ヴィンチに似ていると感じた。
そろそろ9月号が出そうな頃に読んだ7月号は池上彰の書評や中村うさぎのエッセイ、三谷幸喜とペリー荻野の対談が良かった。

また、この号はモデル・女優の杏が書いた愛犬のエッセイが本当に良かった。
動物を飼えば楽しい時間も悲しい時間もやってくる。必ず両方だ。それを受け止めるのが動物を飼う責任だろう。
彼女はその時間をサラリと描くが、溢れる家族達への愛情は隠せない。その視点から窺えるのは、彼女がずば抜けて愛情深い人間である事だ。
私は今まで彼女の筆力を舐めていた。このエッセイがあるだけで『波』7月号は百点満点だと思う。

彼女のエッセイに描かれた愛犬・次郎と大和の描写を読みながら、私の大好きなマリリン・モンローの言葉を思い出していた。

I’m selfish, impatient, and a little insecure. I make mistakes, I’m out of control, and at times hard to handle. But if you can’t handle me at my worst, then you sure as hell don’t deserve me at my best.

私はわがままで、せっかちで、少し臆病。ミスを犯すし、自制心も無いし、扱い難い。だけど、もしあなたが私の最悪の状態をうまく扱えないなら、あなたは私の最高の状態を共にする資格が無い。*1


次郎と大和は良い家族の元で生きて死んだと思う。




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*1:意訳